基本理念
当連合会は、国民健康保険制度が国民皆保険体制の中核として地域住民の医療確保と健康の保持増進に資するという制度発足以来の目的を常に念頭に置いて、保険者の共同体としての責務を十分に認識し、信頼と安心を基盤とした良質の保険者サービスを提供します。
基本方針と主な事業
保険者をはじめ国保中央会、各県国保連合会等の関係団体と十分な連携を図りながら、次の4つの基本方針に基づいた事業を実施します。
基本方針1 精度の高い審査および確実な支払サービスの提供
精度の高い審査事務を行うため、各種研修等による職員の事務共助能力の向上や、審査支援システム等によるコンピュータチェックの強化を図り、医療費の適正化を推進するとともに、近年増加傾向にある介護給付費については、県および保険者との連携を密にして、給付適正化の推進に努めます。
なお、令和4年度の診療報酬改定や10月に予定されている介護、障害福祉職員の処遇改善に関連する介護報酬等の改定および後期高齢者医療の窓口負担の見直しなどの法改正に適確に対応します。
基幹業務である診療報酬、介護給付費等の審査支払業務や、引き続き受託予定の新型コロナウイルスワクチン接種にかかる請求支払事業や3年間の継続が決まった風しん対策事業および出産育児一時金の直接支払事業も確実に行います。
I C T の活用による審査業務の強化と適正請求推進
・職員の事務共助技能の向上を図るため、審査委員等による医学的研修や職員間での算定ルールに関する研修を行います。また、再審査結果を分析し審査事務にフィードバックすることで、事務共助精度を高め「適正審査率」の更なる向上を目指します。
・請求受付事務の確実な実施に加え、オンライン資格確認等システムによるレセプト自動振替・分割機能の運用により、適正請求推進と保険者の事務の効率化に努めます。
審査基準の統一化対応
・「審査結果の不合理な差異の解消に向けた工程表」で示された審査基準統一の取組みを引き続き積極的に推進するとともに、統一化された審査基準は確実に審査に反映させます。
介護給付費と障害者総合支援給付費における審査支払および介護給付適正化事業の円滑な実施
・「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づき実施される令和4年9月までの介護職員、障害福祉職員等の処遇改善を図る経費の交付事業を県から受託し確実な支払に努めます。
・県策定の第8 期介護保険事業支援計画に位置付ける介護給付適正化の推進を図るため、事務処理方法の見直しや国保連合会システムによって出力される給付実績情報を活用した新たな支援策を検討するとともに、県と共催で市町等担当職員を対象に、適正化事業の推進に向けた取り組みに関する知識の習得とスキルアップの向上を目的とした研修会を開催し、保険者の支援に努めます。
基本方針2 質の高い保険者サービスの提供
医療保険情報に係るデータ分析等に関する事業の推進を図るとともに、国や県の動向を注視しつつ、保険者のニーズを捉えたサービスを提供します。
レセプト・健診情報等を活用した分析事業等の推進
・医療、介護等のデータ分析を新たに事業化するために、保険者の要望や課題等の確認、全国における分析事業の実施状況を調査し、令和6年度の実施に向けて検討します。
電算共同処理の効果的な運用
・共同事業推進委員会に加えて、県が開催する各種会議や国保連合会支部が開催する会議への参加を通して、保険者に共通する課題や要望を的確に把握し、既存事業の改善や新規事業の提案等に取り組みます。
・次期国保総合システムへの更改に向けて、国保中央会における開発状況を注視するとともに、保険者への情報連携と意向調査を適切に行い、円滑なシステム更改に取り組みます。
・国保連合会が提供している各種帳票やデータについて、県や保険者が利活用できるよう各種研修会を継続して実施します。
効果的な保健事業の実施に向けた保険者支援
・「国保・後期高齢者ヘルスサポート事業」において、保健事業支援・評価委員会などを開催し、国保ヘルスアップ事業実施保険者等への支援や、保険者におけるデータヘルス計画の効率的な保健事業展開のための支援を行います。
・保険者が「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」を推進できるよう、後期高齢者医療広域連合と連携し、KDBを活用した事業展開や全国、県内市町における先進事例等の共有など、保健事業支援・評価委員会や研修会をとおして市町の実態に即した支援を行います。
・保険者が行う保健事業の事業評価や計画立案等において、データ提供の側面から支援を行うとともに、後期高齢者医療のデータ分析支援の強化を図ります。
・特定健診等受診率向上や重症化予防事業など、保険者が取り組む保健事業を効率的・効果的に実施できるよう計画立案から評価までのプロセスに応じた支援に取り組みます。
・保健事業推進委員会や各種研修会等をとおして、保険者の要望を把握するとともに、それらの要望に応えられる職員の資質向上に努め、引き続き、保険者に信頼される保険者支援の体制構築を目指します。
第三者行為損害賠償求償事務の取り組みの強化
・県と連携して保険者担当者を対象とした研修会を継続して開催することで、保険者による初動対応から請求に至るまでの事務の円滑化を支援します。
・保険者が、保険者努力支援制度(市町村分)の評価指標にある第三者求償の取り組みについて、レセプトの抽出条件を見直し、保険者が効率的に被保険者への傷病届出勧奨が行えるよう支援します。
・第三者行為による保険給付の早期発見と確実な請求のため、医療機関に対するレセプト記載方法の周知に加え、保険者と連携した地域住民に対する制度周知も併せて行います。
第6 3 回全国国保地域医療学会の開催
・令和5 年度に福井県において開催予定である第6 3 回全国国保地域医療学会について、全国国民健康保険診療施設協議会、東海北陸地方の各国保連合会等の関係団体と十分な連携を図りながら、円滑な開催に向けた準備に取り組みます。
基本方針3 保険者支援の基盤となるシステム整備と安定運用
保険者支援をはじめとする良質な保険者サービスの提供を実現するため、基盤となるシステムを整備し、安定運用を実現します。
情報システムの効率化および適正化
・国保総合システムをはじめとする稼働中の各種情報処理システムについては、引き続き確実な運用と安定稼働に努めます。
・各システムの運用サポートについては、入札による業者選定および実際の業務量に見合った委託料の定期的な見直しを継続し、経費の削減に努めます。
・令和4年11月に保守期限を迎えるOAシステム(ファイルサーバ)の更改にあたっては、BCPの強化および経費の削減を目的にオンプレミス方式(※自社でサーバを保有・管理する方式)からクラウド方式に移行します。
・メールおよびインターネット機能に限定した新情報系ネットワーク(平成27年度稼働)については、業務の円滑な実施と安定稼働に向けて機器更改を行います。
・次期国保総合システムの更改(令和6年度)に向け、円滑な移行と安定稼働を実現するために課を横断した検討会を立ち上げ、課題・変更点の洗出しやカスタマイズの要否等について検討を始めます。
情報セキュリティ対策の強化
・ISMS認証を継続し、レセプトをはじめとする全ての情報資産を適切に管理するとともに、ISMSのプロセスを通じて情報セキュリティ対策の強化と改善を図ります。
・各種セキュリティ研修を実施し、職員の情報セキュリティに対する意識の醸成と向上を図ります。
・執務室の防犯カメラシステムの更改を行い、入退室管理システムとの一元管理により、情報資産の管理強化を図ります。
基本方針4 変化に対応できる組織と財政運営
当連合会を取り巻く状況の大きな変化に確実に対応するため、国保制度改革への取り組み強化、経営の透明性の向上、経営および経費分析の強化などに努め、持続可能な組織運営を図ります。
将来にわたり持続可能で安定的な財政運営
・新たに設定した手数料により確実かつ安定的に事業を実施していくため、引き続き人件費や委託料など支出の多くを占める経費の適正化に努めます。
・決算に基づく経営状況の分析と財務諸表等を活用した財務分析を継続することにより、安定的な財政運営を図ります。
・積立資産の適切かつ計画的な積立・管理・運用に努めるとともに、AIやICT関連経費の増加に対応するため、「ICT等を活用した審査支払業務等の高度化・効率化のための積立」の積極的な積立を行います。
I C T の進展に対応できる人材の育成
・統計分析の手法や分析結果の評価方法の知識の習得・向上を図るなど、I C T の進展に対応できる人材の育成を図ります。
・制度の変革期に的確な対応が図れる職員の育成のために、コンプライアンス研修などの全体的な研修と、審査共助能力の向上などの専門的な研修を年間を通して開催し、職員の資質の向上を図ります。
・国保連合会・国保中央会以外の機関が開催する研修等に職員を積極的に参加させることにより、幅広い視野・知識を持った職員の育成を図ります。
・職員の心身の不調を予防するため、法令に則った健康診断とストレスチェックを実施するとともに、それらの結果をもとに個別相談会を実施するなど、産業医と連携して職員の健康維持を図ります。
事業継続計画の強化
・コロナ禍の中においても着実に事業を実施するため、引き続き事業継続計画に関するマニュアルのブラッシュアップを図るとともに、実地訓練を通して計画を充実・強化します。